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メディア2024年7月16日
デビュー20周年を迎えたスキマスイッチが故郷・愛知県で念願の主催フェスを初開催
スキマスイッチのデビュー20周年の締めくくりとして、初の開催が発表されたスキマフェス。地元・愛知県で念願の開催であることもトピックだが、何と言っても話題は、群雄割拠なフェスシーンの中でも異彩を放つ、世代や音楽性を跨ぐ豪華メンツが集結したことだ。各アーティストのパフォーマンスが素晴らしいのは周知のとおりだが、一同に介した時どんな風景が広がるのか、観衆はどんな反応で見守るのか。ありそうでなかった、まさにスキマスイッチの音楽シーンでの存在感そのままのフェスが、いよいよ始まる。
当日は心配された天気もなんのその、会場の愛知県Aichi Sky Expoに青空が広がる。海を望む野外ステージとあって、さわやかな潮風が吹き込んでいた。
正午、ステージにフェス主催者であるスキマスイッチの2人がオープニングトークに登場する。「15年ぐらい前からやりたいと思っていた主催のフェスが、デビュー20周年を超えて開催に至りました!」と喜びいっぱいに感謝を伝える大橋。常田は「こんな豪華アーティストが常滑に来るって…そもそも常滑って読めますか?皆さん(笑)」と、期待に胸膨らませる観衆に投げかける。敬愛するアーティストがスキマスイッチの地元・愛知に勢ぞろいとあって感慨深げな2人。「スキマフェス、スタート!」の宣言とともに2人がディレクションしたというアニメ動画がはじまり、いよいよフェスが開幕した。
トップバッターのゆずは、定番のラジオ体操第一から。北川は「スキマフェスが始まるよ!20周年をみんなで祝うぞ!」と観客をたきつけ、スキマスイッチの「全力少年」になぞらえたMCで始まる「少年」を皮切りに、持ち前の人懐っこさと安定感にあふれたパフォーマンスで魅了する。北川主導のもとダンスの予習もバッチリな「タッタ」、お祭り騒ぎの「夏色」を終えると、「ゆずもスキマスイッチも、同じ2人組じゃん?同じように20年以上やってるから、デカいステージ作るとか、仲間集めるとか、天気も味方につけるとか、すごいなと思ってさ。変化し続ける音楽業界を生き抜いた仲間として、戦友にこの曲を届けたいと思います」と「栄光の架橋」。この日ばかりは、スキマスイッチの歩んできた道が楽曲にオーバーラップする。スキマフェスの始まりを勢いづける、エンターテイナー・ゆずの魅力がギュっと詰まった40分だった。
2番手は、サウンドチェックの時から歓声を浴びていたSUPER BEAVER。フェス常連の彼らも、今日の出演者の中では最年少だ。本番を迎え「大事なご挨拶の前に、まずはスキマスイッチ先輩に一言、愛してる〜♪」と渋谷龍太。「ご来場のあなたに一言、愛してる〜♪20周年の先輩にお世話になります、SUPER BEAVERです!」と挨拶すると、「アイラヴユー」からスタート。ホームのような盛り上がりの中「青い春」へ続く。「学生の時から聴いていたスキマスイッチのイベントに呼んでいただけて、こんなデカい場所でやれると思ってなかったので、すごく光栄な時間です」と感謝を述べる渋谷。トリビュートアルバム「みんなのスキマスイッチ」でカバーした「キレイだ」も1コーラス披露、憂いを帯びたナンバーが少し陰った空にマッチする。「敬愛してるからこそ、トリのスキマスイッチまで体力残さないのが筋だと思うんで、全力で遊んでってください!」という言葉通り、真摯かつ強気な演奏で会場を沸かせた。
3組目に登場したJUJUは、2日間を通して唯一の女性ソロアーティスト。黄色いワンピースをまとってコーラスやホーン隊を引き連れた彼女は、ジャズコーナーあり、カバーありの彩り豊かなステージを繰り広げた。まずは「プレイバックしたくなる思い出、一緒に作っていただけますか?」と「PLAYBACK」、そして「What You Want」を軽快に披露。「スキマスイッチの2人が私にジャズをやってほしいとのことで、頼まれると断れない性格なんですよ」と「My Favorite Things」「It Don’t Mean A Thing」をムードたっぷりに歌い上げると、ステージはまさにジャズフェスティバル状態に。「明日がくるなら」での大橋との美しいデュエットに加え、トリビュートアルバム「みんなのスキマスイッチ」収録の「藍」を披露するなど、このイベントならではのコラボレーションも贅沢。JUJUの魅力が惜しみなく伝わる40分間に圧倒された。
そしてこの日、最も意外性のある出演と言い切っていいだろう、マキシマム ザ ホルモンが登場する。敢えて、であろう。一曲目から激しいドラムプレイとラウドなギター&ベースで、会場のアスファルトに重低音がビリビリと響き渡る。唖然とするオーディエンスもいる中、MCではナヲが下町ばりの親近感でさらに度肝を抜く。「スキマスイッチおめでとうございます!小さい子、泣いてないかな〜?大丈夫、噛まないですよ〜」。その後、オールジャンルフェスだろうが容赦なし、津田製麺所の麺桶からデスボイスを浴びせまくる。ラウドロックマナーとテクニックとギャグが混ざり合い、気づけば彼らが言う「ロックの違和感」に会場全体が揺れる。腹ペコ(ホルモンファンの呼称)にはお馴染み、ここでは初見の人が多かったであろう「麺カタ・コッテリ・ヤッター!」を叫びながらの3段階のアクションを、もちろんオーディエンスに強要。ついでにステージ袖で見ていたスキマスイッチの2人も参加!演奏ではないが、ポーズでスキマスイッチとの共演を果たし、そのままキラーチューン「恋のメガラバ」で大団円。最後には大橋もジャンプ!ある意味で、スキマフェスのコンセプトがもっとも体現されたと言える一体感を作り出し、激しいステージを終えた。
日が傾き始め、海からの風が涼しい時間帯に登場したのはコブクロ。「2万人だー!雨雲に場外ホームランを打ちに来ました!5番バッター、コブクロです!」と「轍–わだち–」でスタートを切ると、黒田はステージを広く使いながら歌い上げ、序盤からオーディエンスを盛り立てる。大阪・関西万博オフィシャルテーマソングである「この地球の続きを」では、この日のためだけに準備したというハッピを身につけた小渕が、「スキマ!」を合いの手に太鼓を叩く。スキマスイッチを呼び込んでのコラボコーナーでは、さながら漫談のような息のあったトークが止まらない。さらに、「五時半の夕焼けの時間に、ゆずさんがいないのは寂しい…」と小渕が話したことから、4人で「夏色」を即興で歌うサプライズも。そのまま「YELL〜エール〜」では心地良いハーモニーが広がり、気心知れた間柄ならではのチームワークが光る。スキマスイッチを見送った後は珠玉のバラード「流星」。結成25周年を記念した未収録楽曲「RAISE THE ANCHOR」で締めくくった。
なんとも言えない静かな緊張感の中、次にステージに登場したのは小田和正だ。「たしかなこと」を歌い始めた瞬間、客席からどよめきが広がり、1コーラスを終える頃には自然と拍手が起こった。心の琴線に触れる歌声に、観衆からスタッフまでが吸い込まれるようにステージを見つめる。ギターを置きハンドマイクで歌った「会いに行く」では、曲の合間にオーディエンスに声を掛けながら歌唱。「野外ということで、雨が降らないように考えて選びました」という「夏の日」。観客の嬉しそうな笑顔がはじけた「キラキラ」を終えると「スキマスイッチの2人、どうぞ」と呼び込み、握手を交わす。「20周年、おめでとうございます。スキマにはずっとずっとお世話になりっぱなし。ふざけているように聞こえるかもしれないけど、本当に感謝しています」と笑いを誘う。「スキマスイッチがこの先も20年、30年と続いていくことを期待しています。せっかくだからなんかやりましょう」と始めたのは「ラブ・ストーリーは突然に」。ドラマチックな旋律を3人で歌い(常田のボーカルパートもあり!)、国民的ヒット曲のスペシャルコラボに場内は大歓声だ。最後は「2人に手伝ってもらって気持ち良くなったところで、お別れの時間となってまいりました」と「今日も どこかで」を演奏。最後まで圧巻の存在感を見せ、惜しまれながらステージを後にした。
19時を過ぎ、いよいよスキマスイッチがトリとして登場する。赤い照明を浴びながら「ゴールデンタイムラバー」「ガラナ」とエネルギッシュに畳みかけ、さすがオーガナイザーとあってお客さんとの呼吸もバッチリ。MCでは大橋が「ありがとう常滑!いやもう本当に夢のようです、もうあんまり喋ることもない(笑)。朝のゆずから全部見ましたけど、本当にこう…ありがたいね」と万感の想いを語る。常田も「スキマフェスのお客さん、いいねってアーティストの皆さんが言ってくれるんですよ」と感無量の表情だ。発売したばかりのアルバム『A museMentally』から「Lovin’ Song」や「クライマル」でスキマスイッチの現在地を示しつつ、「皆さんもうちょっと元気ありますか?」の大橋の声から「全力少年」へ。この曲から写真や動画の撮影がOKになり、スマホの明かりが一面に輝く。最後は色とりどりのタオルが舞った「Ah Yeah!!」で締めくくると、今日何度目かわからない感謝をファンへ伝える大橋。「もう感無量です!本当に皆さんのおかげで一日目を無事に開催できました。駆けつけてくれたアーティストの皆さんもかっこよくて、ゆずも自らトップバッターで盛り上げさせてって言ってくれたりとか……。ホルモンも驚いたでしょ!?(笑)音楽を愛してて、情熱があって、ライブが大好きな人たちに声をかけました」と振り返る。常田も「これがスキマフェスです!楽しんでいただけましたか?俺も知らなかった、こんなに楽しいなんて(笑)」と笑顔。大盛況のうちに、初めてのスキマフェスの初日が終了した。
「今日こそ雨が降ってしまうのでは……」という心配もよそに、晴れ間が見えた2日目。Aichi Sky Expoの屋内エリアではグッズを買い求める人、名古屋グルメを味わう人など、開演前から思い思いに楽しんでいるファンの姿が見られた。フードエリアにはみそかつ矢場とんやカレーハウスCoCo壱番屋等の定番名古屋めしに加え、居酒屋等も出店するなど、地元グルメが多数ラインナップ。厳しい日差しや雨など、さまざまな天候条件が重なった2日間ではあったものの、会場内には空調の効いた大型休憩スペースもあり、人工芝の上でゆったりとモニターでステージの様子を楽しむ方も多く見られた。
正午になり、この日もフェス主催者であるスキマスイッチのオープニングトークからスタートする。拍手に迎えられると「昨日はですね、ギリギリ天気がもって、最後、僕たちの番だけ降って…お客さんが帰る頃また止みました。いつもの流れです!」と大橋が話し、常田も「安定の!」と合いの手を入れて笑いを誘う。愛知県ならではの蒸し暑さを引き合いに体調管理の大切さも呼びかけ、2人で息を合わせた「スキマフェス、スタート!」の声で2日目が開幕した。
2日目の一番手は緑黄色社会。青い衣装が爽やかな4人が「sabotage」で口火を切ると、長屋のまっすぐな歌声が会場を突き抜ける。「スキマフェス、呼んでいただいてありがとうございます!」と長屋が挨拶。スキマスイッチと同じ愛知県出身であることにも触れ「いろんな現場でお会いすると、いつもすごい優しくて嬉しくて、今日も地元トークしたり。いつか私たちも愛知県でイベントやりたいなと思ってるから、勉強になることばかりです!」と続ける。今日をよりスペシャルな一日にしたいと大橋とコラボした選曲は「サマータイムシンデレラ」。パートを歌い分け、同郷の先輩・後輩で清涼感たっぷりにサマーチューンを届けた。「贅沢な時間をありがとうございます。観客のみんなに喜んでもらうのが一番なんですけど、私たちも超嬉しかった!」と話す長屋を筆頭に、メンバーが屈託なく喜びを表現する姿が清々しい。“こんな僕もスキマフェスのヒーローになりたいのさ”と歌い替えた「Mela!」を筆頭に、会場全体に一体感を巻き起こし、全7曲を駆け抜けた。
2組目に登場した東京スカパラダイスオーケストラはピンクのスーツで登場。ギターの加藤が「スキマフェスー!アーユーレディー!?」と煽り、バリトンサックスの谷中も「スキマスイッチ20周年おめでとう!みんなもっと楽しんでいこうか!」と続ける。縦横無尽に走り回り、お立ち台に立って煽り、一瞬でスキマフェスをジャック。モンキーダンスが飛び出す「DOWN BEAT STOMP」、メンバーの指ハートがチャーミングな「Can’t Take My Eyes Off You~君の瞳に恋してる~」を終えると、スキマスイッチの2人を招いた。スキマフェスは今年が初開催だと大橋に説明された谷中は、「そうなの!?初めてでこんな盛り上がりってすごくない?(笑)」と本気で驚いた表情だ。そのまま「美しく燃える森」をコラボし、ホストにしっかり花を持たせる姿も粋でスマート。コラボは続き、次は緑黄色社会の長屋を呼び込み、ゲストボーカルとして参加した楽曲「青い春のエチュード」をプレイする。長屋は「Paradise Has No Border」にもトロンボーンとして参加し、「もっと楽しんでいかなかんて!」と名古屋弁で客席を盛り上げる。汗だくでパフォーマンスを終えたメンバーたちは、最後は谷中のスマホによるセルフィーでフィニッシュ。どこまでもピースフルで頼もしかった。
小雨が降り始める中で登場したのはsumika。片岡は1曲目の「Starting Over」を「♪スキマフェスのストーリーを~始めちゃうぞ!」と歌い替え、その言葉通りにスキマスイッチ愛にあふれたステージを繰り広げた。「改めましてこんにちは、スキマです!間違えた、sumikaです(笑)!こんなちょうどいい天気のフェスある?晴れと雨のスキマ、さすがスキマスイッチ」と笑いを誘いつつトリビュートアルバム「みんなのスキマスイッチ」でカバーしている「ガラナ」をスキマスイッチに完全サプライズで披露。歌声の親和性を感じると同時に、きらびやかなエッセンスが加わってsumikaらしい仕上がりだ。続いてスキマスイッチの2人を招きsumikaの「願い」をコラボ……だったのだが、片岡の指示で急遽歌い出しを任された大橋がミスして膝から崩れ落ちる。テイク2は見事成功し、大橋と片岡が並んで歌う姿は兄弟のようだ。スキマスイッチの2人はそのまま「マイリッチサマーブルース」にも続けて参加。雨が強まる中でびしょ濡れになりながらタオルを回して場内を盛り上げ、大橋は「色々やらせすぎだよ(笑)!」と言いつつ、かわいい後輩のお願いを断れなかった様子。そんな片岡も最後は「売れてることも続けてることもすごいですが、人として尊敬できるからついていきたいなと心の底から思っています。ありがとうございます、スキマスイッチ!」と真剣に話し、「運命」のカラフルなサウンドで締めくくった。
いきものがかりはバンドセットで登場。吉岡が袖から飛び出して「ブルーバード」で始まると“蒼い 蒼い あの空”の歌詞に合わせたように雨が止み、吉岡の歌声が気持ちよく伸びていく。「スキマフェス、今日は呼んでくれてありがとう!皆さんまだまだ元気ですか?一緒に騒ごうよ!」と、吉岡はステージの端から端まで走り回り、全身で音楽を楽しむことを表現して会場のボルテージを牽引する。「気まぐれロマンティック」「じょいふる」と畳みかけて一息つくと、水野は「中盤にうるさいグループですみません!こんなにタオルを振ってもらえるとは」と恐縮気味。デビュー曲の「SAKURA」を2人だけで披露した後は、トリビュートアルバム「みんなのスキマスイッチ」から「ボクノート」をバンドセットでカバー。リスペクトが伝わる演奏に加え「スキマスイッチはデビューしてからずっと温かく見つめてくれる先輩。これからもよろしくお願いします!」と吉岡が改めて伝えると、エモーショナルな「コイスルオトメ」で大団円。目の前にいる人を音楽で立ち止まらせる、ストリート出身としての底力を見た。
続く奥田民生もバンドセットでの登場。「え〜、奥田民生です、よろしくお願いします」と気負わずステージに現れると、1曲目の「手紙」から「スカイウォーカー」「マシマロ」と、重厚なギターサウンドと力強いボーカルを響かせる。まるで自宅でセッションをしているかのような余裕、しかし演奏はタイトで隙がない。ギターボーカルの奥田民生を含むフォーピースバンドが鉄壁のグルーブを作り出す。「スキマの20年をお祝いしております。雨が降るという予報だったので、用意しておりました」と演奏するのは「イナビカリ」。そして「じゃ!」という別れの挨拶とともに「さすらい」を演奏し、これがラストナンバーと思わせておきながら……そこでスキマスイッチの2人が登場。「イージュー★ライダー」の合唱でしっかりと会場を盛り上げ、貴重なアクトを終えた。
2日間にわたるスキマフェスもいよいよ大詰め、トリ前に登場したのはスピッツだ。メンバーが静かに登場して持ち場につき1曲目のイントロを鳴らした瞬間、ワッと感嘆の声が上がった。MCなしで4曲を畳みかけ、名刺代わりの曲たちが名実ともに日本を代表するバンドであることを証明する。「こんばんは?こんにちは?スピッツです!ありがとうございます」と草野。「スキマスイッチってすごく良いグループ名だよね、由来とか詳しく知らないんだけど、ぽっかり空いた心のすきまに入って、心のスイッチをオンにしてくれるって感じがして」と草野らしい解説には会場から拍手が。そのまま大橋を呼び込むと、バッキングボーカルとして参加したスピッツの楽曲「群青」をコラボする。エヴァーグリーンなサウンドで場内が満たされる。大橋を送り出したあとも、ベースの田村がジャンプしたり、ドラムのシンバルを叩いたりと大暴れする、スピッツファンにはお馴染みのライブ定番曲など、圧巻のパフォーマンスを見せつけてステージを後にした。たくさんの人が、人生のどこかで出会っているであろう楽曲たちによるセットリストが、キャリアの長いバンドの一つの理想形を示していた。
2日間の大トリとして登場するのは、もちろんこの日もスキマスイッチ。「昨日から素晴らしいアーティストの皆さんが良い音楽を聴かせてくれて、僕らも本当にずっと全部見てました」と大橋が話し、「奏(かなで)」の演奏は終わりゆく時間を噛み締めるようだ。「逆転トリガー」からは息つく間もなく「Ah Yeah!!」「全力少年」と畳みかけ、「みんな元気残ってる?最後に力を使い切ってください!」と大橋が煽れば、会場はもちろんと言わんばかりの盛り上がり。大橋は曲の終わりで「最後に愛は勝つ〜♪」とあの名曲を口ずさみ、常田のピアノから大ジャンプを決めた。最後のMCでは、大橋がこれまでの歩みを振り返る。手探りながら10年、20年と続けた先に今があり、ご褒美のようなスキマフェスの実現が待っていた。「夢は叶うよ。そのためには自分に賛同してくれる仲間を見つけること。僕たちにはスタッフであり、アーティストであり、そしてお客さんというのが、この2日間ですごくわかった。みんなも仲間を見つけて夢を叶えてください。僕らはみんなに夢を叶えてもらいました。本当にありがとうございました」と感無量の表情で言葉を紡ぐ。ラストナンバーは赤い電車に故郷への想いを重ねた「スカーレット」。常田は「次回はまだわからないけど、第1回に参加した皆さんが自慢できるフェスになるといいなと思って。今日のお客さんの中から、僕らと共演する人が出てくるかもしれない。僕らもスピッツや民生さん、小田和正さんのアルバムを買っていたわけだからね。今日はそんなことを考えながら演奏していました」と未来を見据える。そんな予感も夢ではないと思えるほど、初めてのスキマフェスは大成功に終わった。名残惜しそうにいつまでもステージで感謝の言葉を続ける2人が印象的な、スキマフェスのラストシーンだった。
取材・文 阿部慎一郎(ぴあ)/松永美穂(edimart)